ポルトフロアブルとナブ乳剤の違い|効く雑草と使い分けを徹底比較

畑のイネ科雑草対策でよく名前が挙がる「ポルトフロアブル」と「ナブ乳剤」。どちらも作物の上から散布してイネ科雑草だけを枯らせる除草剤ですが、「結局何が違うの?」「どっちを買えばいいの?」と迷う方も多いのではないでしょうか。

この記事では、両メーカーの公式情報と農林水産省の登録データをもとに、2つの違いと使い分けをわかりやすく解説します。

この記事でわかること
  • ポルトフロアブルとナブ乳剤の成分・特徴の違い
  • 育てている野菜ごとの使える・使えないの違い
  • 目的別のおすすめと、使うときの注意点
目次

ポルトフロアブルとナブ乳剤の違いを一覧で比較

まずは2つの違いを表で整理します。

項目ポルトフロアブルナブ乳剤
メーカー日産化学日本曹達
有効成分キザロホップエチル7.0%セトキシジム20.0%
効く雑草一年生イネ科雑草(スズメノカタビラを除く)一年生イネ科雑草(スズメノカタビラを除く)
散布適期(主な野菜)イネ科雑草の3~8葉期イネ科雑草の3~5葉期(作物により6~8葉期も可)
薬量(10aあたり)200~300ml150~200ml(大きい雑草は200ml)
枯れるまでの目安約1週間7~10日
登録作物の数少なめ(豆類・根菜・キャベツなど)非常に多い(葉物・果菜・ねぎ類なども)
駐車場・宅地など登録なし登録あり
容量500ml、2.5L―

※ポルトフロアブルは日産化学の製品ページ、ナブ乳剤は農林水産省の登録情報をもとに作成。

共通点:どちらも「イネ科雑草専用」

大前提として、2つはとても性質が似た除草剤です。どちらも、イネ科の雑草だけに作用し、登録された作物には安全性が高いため、作物の上から全面散布ができます。

一方で、どちらも広葉雑草やカヤツリグサ科には効果が期待できず、スズメノカタビラも適用外です。「ポルトに替えれば広葉雑草も枯れる」ということはないので注意しましょう。

共通点:効く仕組みも同じ系統

ナブ乳剤は、イネ科雑草の脂肪酸合成に関わる酵素(ACCase)を阻害して成長を止める除草剤です。ポルトフロアブルも、日産化学の製品ページで作用機構分類番号が「1」とされており、同じACCase阻害のグループに分類されます。

草野さん

同じ仕組みの除草剤を交互に使っても、「効き方の違いで枯れ残りを防ぐ」効果は期待しにくいです。枯れ残りが気になる場合は、仕組みの違う除草剤や手取りを組み合わせましょう。

ポルトフロアブルとナブ乳剤の3つの大きな違い

違い1:使える野菜の数がまったく違う

2つの最大の違いは、登録されている作物の数です。家庭菜園でよく育てる野菜で比べると、差がはっきりわかります。

野菜ポルトフロアブルナブ乳剤
キャベツ〇(収穫30日前まで)〇(収穫14日前まで)
はくさい×〇
だいこん〇(収穫14日前まで)〇(収穫14日前まで)
にんじん〇(収穫45日前まで)〇(収穫14日前まで)
たまねぎ〇(収穫30日前まで)〇(収穫14日前まで)
ねぎ×〇
トマト×〇
いちご×〇
ほうれんそう・レタス×〇
ばれいしょ(じゃがいも)〇(収穫前日まで)〇(収穫前日まで)
かんしょ(さつまいも)〇(収穫14日前まで)〇(収穫30日前まで)
えだまめ〇(収穫14日前まで)〇(収穫14日前まで)

※農林水産省の登録情報(ポルトフロアブル・ナブ乳剤)をもとに作成。使用前は必ず最新のラベルを確認してください。

いろいろな野菜を少しずつ育てる家庭菜園では、ナブ乳剤のほうが1本で対応できる範囲が広いといえます。また、にんじんやたまねぎは、ナブ乳剤のほうが収穫に近い時期まで使えます。

一方、さつまいもはポルトフロアブルのほうが収穫14日前まで使えるため、収穫が近い時期の除草に向いています。

違い2:散布できる雑草の大きさ

ポルトフロアブルの特長は、多くの作物でイネ科雑草の3~8葉期まで同じ薬量の範囲で使えることです。日産化学は、梅雨や天候不順、作業の忙しさなどで撒き遅れが生じても柔軟に対応できるとしています。だいずとかんしょ(北海道を除く)では10葉期まで使えます。

ナブ乳剤は3~5葉期が基本の適期で、作物によっては6~8葉期も使えますが、その場合は薬量が変わります。

「雑草が少し大きくなってから気づくことが多い」という方には、ポルトフロアブルの適期の広さがメリットになります。

違い3:駐車場や家の周りで使えるか

ナブ乳剤は、野菜畑だけでなく、公園・駐車場・道路・宅地などの「樹木等」にも登録があり、ススキやチガヤへの局所散布も認められています。

一方、ポルトフロアブルは畑作・野菜用の除草剤で、駐車場や宅地などでの登録はありません。畑以外でも使いたい場合は、ナブ乳剤を選ぶ必要があります。

目的別のおすすめはどっち?

ここまでの違いをふまえると、選び方は次のように整理できます。

こんな方にはおすすめ
いろいろな野菜を育てている家庭菜園ナブ乳剤
トマト・いちご・ねぎ・葉物の畑で使いたいナブ乳剤
畑だけでなく駐車場や家の周りでも使いたいナブ乳剤
豆類・いも類中心で、撒き遅れが心配ポルトフロアブル
さつまいもの収穫が近い時期に除草したいポルトフロアブル
草野さん

迷ったら「育てている野菜が両方の登録作物に入っているか」を最初に確認しましょう。登録のない作物には使えないため、ここで自然に選択肢が絞られます。

両方に共通する使い方と注意点

効果が見えるまで約1週間待つ

どちらも遅効性で、ポルトフロアブルはイネ科雑草を完全に枯らすまでに約1週間、ナブ乳剤は見た目に変化が出るまで7~10日かかります。すぐに枯れないからといって撒き直すと、使用回数を消費してしまうので注意しましょう。

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散布は霧状にムラなく

どちらも雑草の茎葉にかけて吸収させる除草剤です。ナブ乳剤のメーカーは、ジョウロではなく霧状に散布できるノズルを使うよう案内しています。雑草の葉にまんべんなくかかるよう、噴霧器で散布しましょう。

低温期・穂が出た後は効きにくい

ポルトフロアブルは、冬の低温時や穂が出た後など雑草の成長が止まっている時期には効果が劣るため、使用を避けるよう注意書きがあります。ナブ乳剤も冬は効果が出るまで1か月以上かかるため、どちらも雑草が元気に育っている時期に使うのが基本です。

ポルトフロアブルは目の保護を必ず

ポルトフロアブルは、眼に対して強い刺激性があるため、散布液を作るときは保護眼鏡を着用するよう明記されています。原液を量ったり薄めたりするときは、保護メガネと手袋を着用しましょう。

周りのイネ科作物・芝生にかけない

どちらもイネ科の植物を枯らす除草剤です。稲やとうもろこしなどのイネ科作物に飛散すると薬害が出るおそれがあります。また、芝生もイネ科の植物で、どちらの適用表にも芝は含まれていないため、芝生の近くでは使わないようにしましょう。

使う前に知っておきたい法律・ルール

ポルトフロアブルもナブ乳剤も、農薬取締法に基づいて登録された農薬です。農林水産省は、除草剤はラベルの注意事項を守り、周辺の田畑や住宅地に飛散させないよう注意することを呼びかけています。

特に注意したいのが「登録作物以外には使えない」という点です。たとえばトマトの畑でポルトフロアブルを使うことは、適用表にないためできません。また、同じ有効成分を含む農薬の総使用回数も決められているため、ラベルの回数を守りましょう。

住宅地の近くで散布するときは、飛散を防ぐために必要な措置を講じるよう努めなければならないとされています。風の強い日を避けて散布しましょう。

広葉雑草が混ざっている場合は?

どちらもイネ科以外の雑草には効かないため、広葉雑草が多い畑では別の対策が必要です。畑の中では手取りや、畝をマルチシートで覆って雑草が生えにくくする方法が現実的です。

作物のない駐車場や家の周りなら、どんな雑草にも効くグリホサート系除草剤で一度に処理する方法もあります。

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まとめ

ポルトフロアブルとナブ乳剤は、どちらもイネ科雑草専用で、作物の上から散布できるよく似た除草剤です。違いは主に次の3点です。

  • 使える野菜の数はナブ乳剤が圧倒的に多い(トマト・いちご・ねぎ・葉物など)
  • ポルトフロアブルは多くの作物で3~8葉期まで同じ薬量で使え、撒き遅れに強い
  • 駐車場や宅地でも使えるのはナブ乳剤だけ

家庭菜園でいろいろな野菜を育てているならナブ乳剤、豆類やいも類が中心で雑草が大きくなりがちならポルトフロアブルが選びやすいでしょう。まずは育てている野菜が登録作物に入っているかを確認してから選んでください。

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